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「苫小牧市民文芸」62号(苫小牧市)その4 圧巻は森山弘毅「中野重治の新資料発見の労作」新発見の資料が光る論考

 投稿者:石塚邦男・根保孝栄  投稿日:2021年 6月10日(木)06時32分19秒
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  ・昭和34年創刊から年一回の発刊を続けて62年。私は昭和36年の3号から寄稿している。まだ学生の時である。忘れもしない「雪の囚われ」と題した25枚の小説であった。それはさておき、本題の問題作の感想に入りたい。本来なら一番に取り上げたかった作品であった。

・森山弘毅「中野重治の1946年北海道ー全集未収録の事蹟 寄稿に寄せて」と題した本格的な新事実発見の文学的価値ある論考で単なる作品や人物の感想文でわない新事実発見の価値ある論考である。寄稿者の森山弘毅氏は、北海道大学文学部卒、苫小牧高専教授、釧路公立大学名誉教授という略歴、苫小牧市に在住し地区の文学活動の中心的存在として活躍しており、市民文芸には初めての寄稿である。以下に論考の詳細について触れたい。

・森山は、戦後の民主主義黎明期に北海道地区の<歌声運動>に関して調べるために北海道新聞のマイクロフィルムを確かめているときに、中野重治が歌声運動の提唱者であった関鑑子と共に、1946年来道し「音楽と文学の会」を各地で講演、聴衆から絶大な歓迎を受けた事蹟に出合うのである。

・中野重治は1946年1月1日の北海道新聞に「日本文化の再建と創造」と題する一文を寄稿しているが、その事蹟が中野重治全集には未収録になっていることを突き止めるのである。この中野の寄稿文には、民主主義とは何か、青少年・婦女子の教育の重要性、国民の自由と権利の復活、教育を受ける権利、母親の子育ての自由と権利など日本国憲法が未だ制定されていない時期に、国民の自由と権利について独自の考え方を示す画期的なメッセージを提示していたのである。

・森山は、中野重治全集に未収録になっているこの事蹟を確認したわけであるが、この北海道での講演の合間を縫って、先に紹介した西田信春の官憲による虐殺死について西田の実家を訪問、哀悼の意を表しているのである。

・話は少々脱線するが、中野重治も浅野晃も水野成夫も南喜一も、官憲に逮捕されながら転向することを条件に釈放されているが、西田信春も小林多喜二も拷問を受けても仲間を裏切らなかったゆえに拷問死してしまった明暗について考えるのである。

・西田信春も小林多喜二も共産党の細胞組織の活動に直接携わっていたため、組織や仲間について告白せよと迫られたのである。これを告白すれば仲間に危険が及ぶので、死んでも告白できないことであったので、最後まで口を割らなかったため死に至る拷問を受け続けたのであった。だが、中野重治を初め、浅野晃、水野成夫、南喜一らは共産党の上級幹部ではあったが、下々の細胞活動組織についてはタッチしていなかったので、逮捕されても共産党脱退の転向表明だけで許され放免されたのである。

・小林多喜二、西田信春は実戦部隊に関与、所属して活動していたため、細胞組織の内情を執拗に追及されて拷問を受けたのが不幸であった。転向後に浅野晃は学者・詩人として一家を成し、水野成夫、南喜一らは経済人として大成し明暗をわけることになったのである。

・だが、ここで、中野重治、浅野晃、水野成夫、南喜一らの転向組を卑怯と言う言葉で糾弾するのは、酷な解釈だろう。実戦部隊に関わっていない上級幹部については、官憲も転向表明で許せるが、実戦部隊の組織細胞に関わる活動をしている党員については、官憲の追及がことのほか厳しかったのである。その明暗が運命を分けたのである。

・浅野晃の最初の妻である伊藤千代子が転向を強要されながら転向せず獄死した憐れは悲惨だったが、当時、捕まったら転向表明すべし、そうでなければ命がいくつあってもたりないとされていたものである。つまり、嘘も方便の世界でもあったし、官憲側も転向表明を信用していたわけではなく、監視下に置いて日常を観察していたのである。

・中野重治は、後に共産党に復党し戦後立ち上げた月刊「新日本文学」などにおいて健筆を振るうことになる。

・日本共産党は政治団体として、過去に一時革命思想を持っていたゆえをもって破防法適用団体として今も「オウム真理教」などと同様に公安調査庁の監視下におかれているのである。大袈裟に言えば、共産党員は現代においてもすべて、好むと好まざるとにかかわらず、法的には公安の監視下に置かれているテロ集団の一員扱いなのである。政治団体としては認められているにもかかわらず、法的には政府の監視下に置かれている団体というのも矛盾したことながら、そのように扱われている現実があるということである。

・これについては、日本共産党は、機会があるごとに破防法適用団体の汚名をはずしてくれと抗議しているのだが、公安調査庁では日本共産党の抗議を無視しつづけており、今後どうなるか注目すべきことである。

・同人雑誌に良くある単なるエッセイ的作品論、作家論の平凡な感想論考ではなく、この論考のような新発見の論考であるなら、学会でも価値ある研究として評価されるもので、貴重な論考であった。

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